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入れ歯の悩み

歯を失った場合の治療法の1つに入れ歯治療があります。入れ歯治療を検討されている方のなかには、入れ歯の種類で迷われている方もいらっしゃるでしょう。入れ歯には保険診療と自由診療があり、種類によって特徴や費用が大きく異なります。
本記事では、入れ歯の種類別の特徴を詳しく解説しています。入れ歯以外の治療法や費用についても説明していますので、「どの入れ歯が1番いいのか分からない」「費用を抑えて入れ歯を作製したい」など、入れ歯治療で不安がある方はぜひご参考にしてください。
奥歯を失った場合はそのままにせず、治療しなくてはなりません。
奥歯が必要な主な理由は以下の3つです。
咀嚼機能が低下する
噛み合わせが悪くなる
歯並びが乱れる
前歯は食べ物を噛み切るという働きがあるのに対し、奥歯は食べ物を噛み砕くという働きがあります。奥歯を失った状態だと、うまく食べ物を噛み砕けないため、咀嚼機能が低下します。
さらに、噛むときに歯がある方ばかり使うようになり、噛み合わせのバランスが左右で乱れてしまいます。
左右のどちらかだけで噛む癖がついてしまうと、よく使うほうに負担がかかってしまうのです。左右バランスよく噛めるようにするためにも、奥歯は必要です。
また、1本でも歯がない状態を放置していると隣り合う歯が移動したり、噛み合う歯がのびてきたりするため、歯並びが乱れます。
咀嚼機能と同時に歯並びや噛み合わせを維持するためにも、1本でも歯を失ったら早めに治療を受けましょう。
以下では、奥歯の役割について詳しく解説しています。
嚥下とは、食べ物を飲み込んで食道から胃へと送り込む動きのことをいいます。正常な嚥下を行うには、奥歯でよく噛み込まなければなりません。この噛み締める動作ができていないと飲み物でさえ嚥下が難しくなります。誤嚥を防ぐためにも奥歯で噛み締める動作は欠かせません。
奥歯が1本でも喪失していると、歯がない部分から空気が漏れて発音に影響します。奥歯がないとハ行やラ行の発音が聞き取りにくくなってしまいます。
奥歯は食べ物を噛み砕く働きがあります。奥歯で噛み砕いたりすり潰したりして食べ物を細かくし、消化器官へ送り込みます。奥歯が1本喪失するだけで咀嚼力は30%程低下してしまうため、消化・吸収が悪くなってしまうのです。奥歯でしっかりと咀嚼することは体の健康にも重要なことといえるでしょう。
奥歯の入れ歯にはさまざまな種類があります。審美性に優れたものや機能性に優れたもの、費用を抑えた入れ歯など種類によって特徴は異なります。
代表的な奥歯の入れ歯を種類別に詳しくご紹介します。
クラスプ義歯とは、保険が適用される一般的な入れ歯です。
部分的に歯を失っている症例に使用されるもので、「保険の部分入れ歯」とも呼ばれます。クラスプという金属のバネがついている点が特徴です。
クラスプを残っている歯に引っ掛けることで、入れ歯を安定させます。
クラスプ義歯の主なメリットは以下の2つです。
費用を抑えた治療が可能
修理を行いやすい
クラスプ義歯は保険が適用されるため、費用を抑えた治療が可能です。機能面や審美面よりも安さを求めている方に適しているでしょう。
また、クラスプや歯茎を覆う床(しょう)部分は修理が可能です。「クラスプがきついので緩めたい」「歯茎が痩せてきてガタガタする」などの状況でも、その時の状態に合わせて修理を行うことで入れ歯を使用しやすくなります。
クラスプ義歯の主なデメリットは以下の3つです。
クラスプがかかる歯に負担がかかりやすい
入れ歯に匂いや汚れが付着しやすい
耐久性がない
残っている歯にクラスプを引っ掛けるため、クラスプがかかる歯は着脱のたびに揺さぶられて負担がかかりやすくなります。そのため、クラスプがかかる歯は寿命が短くなる傾向にあります。
また、クラスプ義歯の素材はプラスチックです。匂いや汚れが付着しやすく、割れたり欠けたりする可能性もあります。
クラスプ義歯の費用相場は、3割負担の方で5,000〜15,000円程度です。
入れ歯の大きさや、歯を喪失した本数などによって費用は異なります。
金属床義歯とは、歯茎を覆う大部分が金属でできている義歯のことです。保険の義歯の場合はプラスチックであるのに対し、金属床義歯の場合はゴールドやチタン、コバルトクロムなどの金属を使用しているため丈夫です。
金属床義歯の主なメリットは以下の3つです。
一般的な入れ歯より違和感が少ない
一般的な入れ歯より壊れにくい
食べ物の温度が伝わりやすい
金属床義歯は主要部分が金属であるため、欠けたり割れたりしにくい丈夫な入れ歯です。そのため、厚みを薄くしても強度を保てます。入れ歯の厚みを薄くすることは違和感の軽減にもつながります。嘔吐反射が強い方や、違和感の少ない入れ歯を希望される方は金属床義歯を検討してみるとよいでしょう。
また、金属は熱伝導率が優れています。飲食の際に冷温が伝わりやすく、より美味しく食事を楽しめるようになるでしょう。
金属床義歯の主なデメリットは以下の3つです。
修理が難しい
入れ歯が外れやすくなることがある
金属アレルギーを発症する可能性がある
金属床義歯の大きなデメリットは修理が難しい点です。歯茎が痩せてきた場合も修理が難しいため、入れ歯が外れやすくなってしまうことがあります。
また、金属を使用するため、金属アレルギーを発症する可能性があります。心配な方は、アレルギーを発症しやすいコバルトクロムは避け、ゴールドやチタンを選択すると金属アレルギーの発症リスクを軽減できるでしょう。
金属床義歯の費用相場は20〜50万円程度です。
保険が適用されないため自由診療となります。金属の種類によっても費用相場は大きく異なりますので、事前にかかりつけの歯科医院で確認しておくとよいでしょう。
テレスコープ義歯とは、残っている歯に内冠と呼ばれる装置を装着し、その上にはめこむ入れ歯のことです。
審美性も安定性も優れています。
テレスコープ義歯の主なメリットは以下の5つです。
クラスプがなく見た目が自然
汚れや匂いが付着しにくい
修理が可能
一般的な入れ歯に比べて違和感が少ない
残っている歯にかかる負担を軽減できる
テレスコープ義歯はクラスプを使用せず、残っている歯に内冠を装着し、ブリッジのように上から入れ歯を被せるため審美性に優れています。
また、耐久性のある高品質な素材で作られているため、汚れや匂いが付着しにくく、清潔に保てます。
万が一、土台となる歯を失ったとしても修理が可能です。
残っている歯に被せて装着するため、安定感があり、他の入れ歯よりも違和感が少ない点が特徴です。残っている歯も、クラスプのように揺さぶられることがないため、負担がかかりにくく、健康な状態を維持できます。
テレスコープ義歯の主なデメリットは以下の2つです。
作製に時間がかかる
費用が高くなりやすい
テレスコープ義歯の治療は、一般的な入れ歯よりも複雑な構造をしているため、高度な治療技術を要します。土台となる歯を整えて、内冠を装着する治療も必要であり、作製時間がかかりやすい特徴があります。
また、保険が適用されないため、費用も高額になりやすい点もデメリットの1つです。
テレスコープの費用相場は100〜300万円程度です。
喪失した歯の本数や入れ歯の大きさなどによって費用は大きく異なります。
ノンクラスプデンチャーとはクラスプを使用しない部分入れ歯のことです。
クラスプがないため、見た目が自然であり、審美性を重視する方に適しています。
ノンクラスプデンチャーのメリットは、クラスプを使用しないため、見た目が自然な点です。保険の部分入れ歯はクラスプがあるため、見た目を気にされる方が多くいらっしゃいます。
ノンクラスプデンチャーはクラスプの代わりに、ピンク色の弾力のある樹脂で残っている歯を覆い、入れ歯を固定します。
見た目が自然であるため、クラスプの見た目に抵抗がある方に適している入れ歯です。
ノンクラスプデンチャーの主なデメリットは以下の5つです。
劣化しやすい
匂いや汚れが付着しやすい
修理が難しいケースが多い
耐久性はそれほどない
適用できる症例が限られる
ノンクラスプデンチャーは弾力のある柔らかい樹脂を使用しているため、劣化しやすい特徴があります。匂いや汚れが付着しやすいため、よりていねいにお手入れする必要があるでしょう。
また、破損した場合、修理が難しい点も特徴です。修理が難しいため、新たに作り直すことも少なくありません。3〜4年で新調することが多く、他の自由診療の入れ歯と比べても耐久性はそれほど期待できません。
そして、歯の喪失本数や形態によってはノンクラスプデンチャーを作製できないこともあります。
ノンクラスプデンチャーの費用相場は10〜30万円程度です。
歯の喪失本数や入れ歯の大きさによって費用は異なります。
マグネットデンチャーとは、マグネットの吸着力を利用した安定性が優れた入れ歯のことです。残っている歯に磁性金属を装着し、入れ歯側には磁石を埋め込みます。クラスプがなくても磁石の力でしっかりと固定されるため、よく噛めるようになります。
マグネットデンチャーの主なメリットは以下の3つです。
クラスプを使用しないため審美性が優れている
安定感がありよく噛める
着脱が簡単
マグネットデンチャーはクラスプを使用しないため、見た目が気になる方に適しています。また磁石の力で入れ歯を安定させることが可能なため、よく噛め、ガタつきも抑えられます。着脱も簡単であるため、入れ歯の着脱が面倒に感じません。
マグネットデンチャーの主なデメリットは以下の2つです。
残っている歯の神経を取らなければならない
MRIやCT撮影に影響することがある
残っている歯に磁性金属を装着するため、歯の神経をとる処置が必要になります。また、神経をとった歯は脆くなりやすいため、根っこが破折するなどのリスクも高まります。
そして、マグネットデンチャーの磁性金属はMRIやCT撮影時に影響して、映像が不鮮明になることがあります。撮影時には外しておくなどの対応が必要であるため、MRIやCT撮影を行う場合は、事前に医師に相談しておきましょう。
マグネットデンチャーの費用相場は20〜30万円程度です。
マグネットを装着する本数によって費用が異なります。入れ歯本体の価格に、マグネット1つあたり5万円程度の追加費用が必要です。
入れ歯は種類や素材、大きさによって費用が大きく異なります。高額なものであれば数百万円かかる入れ歯もあります。
特に初めて入れ歯を作製する方であれば、使用感に不安がある方も多いでしょう。継続して使用できるか分からないものに高額な費用をかけることが心配という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「入れ歯を試してみたい」という方や「できるだけ費用を抑えて入れ歯を作りたい」という方は以下の2つの方法があります。
保険適用の入れ歯を選択する
歯医者で見積もり・比較をする
それぞれの方法を詳しく解説します。
保険適用の入れ歯であれば、3割負担の場合、部分入れ歯で5,000〜15,000円程度、総入れ歯でも15,000円程度の費用で作製できます。
保険適用の入れ歯は素材や設計に制限があり、審美面や機能面が優れているわけではありません。しかし、費用面においては最も低価格で作製できるため、費用を抑えて入れ歯治療を受けたい方におすすめです。
自由診療の入れ歯の場合は、料金設定が歯科医院によって異なります。同じ素材の入れ歯であっても歯科医院によっては数万円程度安い価格で提供していることもあるでしょう。「費用を抑えて自由診療の入れ歯を作製したい」という方は複数件の歯科医院で見積もりをとり、費用を比較してみるのもいいでしょう。
入れ歯治療は入れ歯を作製して終わりではありません。入れ歯を長持ちさせるためにも、残っている歯を健康に維持するためにも、ケアが必要です。
ケアを怠ってしまうと、入れ歯自体に汚れや歯石が付着したり、残っている歯が虫歯や歯周病になってしまったりする可能性が高まります。
入れ歯を清潔に保つためにも、適切なケアを行いましょう。
食後は食べかすなどの汚れが入れ歯に付着するため、毎食後洗浄しましょう。
義歯用のブラシを用いて入れ歯に付着した汚れを落とします。この時、流水下で洗浄しますが、排水口に流れてしまうことがないよう洗面器の上で洗浄することをおすすめします。
また、ブラシで磨く際は力を入れる必要はありません。強い力で磨いてしまうと、入れ歯に傷がつき、傷に汚れが付着しやすくなってしまいます。クラスプ周りまで優しくていねいに磨くようにしましょう。
就寝前は入れ歯洗浄剤を用いてケアをしましょう。
入れ歯洗浄剤には、ブラシでは取り除けない細菌や真菌の除去効果があります。1日に1回、就寝前に入れ歯洗浄液を使用しましょう。
義歯用ブラシで汚れを取り除いたあと、ぬるま湯と入れ歯洗浄剤を入れた容器に入れ歯を浸けます。浸漬時間は入れ歯洗浄剤の種類によって異なるため、使用方法をよく確認してください。また、入れ歯洗浄剤を浸ける時に熱湯を使用すると、入れ歯が変形する恐れがありますので、ぬるま湯程度にしましょう。
入れ歯洗浄剤を使用した後は、入れ歯に付着した洗浄剤と浮き上がった汚れを義歯ブラシを用いて洗い流してください。
入れ歯治療終了後も適切に入れ歯を使用するために、定期検診を受診しましょう。
歯茎や骨は徐々に痩せるため形状が変化します。歯茎や骨の形状が変化すると入れ歯も合わなくなるため、食べかすがつまりやすくなったり、ガタついて痛みが生じやすくなったりします。歯茎にフィットしていない入れ歯を使い続けると歯茎に傷ができるだけでなく、噛み合わせのバランスも崩れてしまい、入れ歯を使用してもうまく噛めなくなってしまうでしょう。
定期検診では、このように入れ歯の適合具合などを詳しくチェックし、必要に応じて調整や修理を行います。
また、残っている歯の状態の確認とクリーニングを行い、虫歯や歯周病を予防します。
入れ歯も残っている歯も健康に保つために、定期検診を受けるようにしましょう。
奥歯を失った場合の治療法は、入れ歯以外にインプラントという選択肢もあります。
入れ歯とインプラントは全く異なる治療です。
入れ歯とインプラントの違いを理解し、どちらの治療がご自身に適しているか検討してみましょう。
入れ歯は保険適用のものと自由診療のものがあり、ご自身での選択が可能です。一方でインプラント治療は基本的に保険が適用されないため、自由診療となります。インプラントの費用相場は1本あたり30〜50万円程度です。
歯を喪失した本数が多いほど、インプラントの埋入本数も増えるため、費用が高額になります。
入れ歯の場合は、ご自身に適した入れ歯の選択が可能であるため、予算に応じた治療を受けやすい特徴があります。
入れ歯治療は手術の必要がないため、誰でも治療を受けられます。
しかし、インプラント治療は手術が必要であり、患者さまの健康状態によっては治療を受けられないケースもあります。また、インプラントは顎の骨にインプラント体と呼ばれるネジ部分を埋め込むため、十分な骨量が必要です。骨量が足りていない場合や骨質によっては治療を受けられないこともあります。
入れ歯はご自身で取り外しが可能なため、入れ歯も残っている歯も清潔に保ちやすい特徴があります。
一方でインプラントの場合は、取り外しができず自分の歯のような形状をしています。インプラントの場合、ケアを怠るとインプラント周囲炎という病気にかかり、インプラントが抜け落ちるなどの原因になることがあるため、よりていねいなケアが欠かせません。歯間ブラシや糸ようじを用いた念入りなケアが必要です。
奥歯の入れ歯は多数の種類があります。
保険の入れ歯は費用を抑えられるメリットがありますが、素材や設計に制限があるため、必要最低限の入れ歯しか作製できません。
自由診療の入れ歯であれば患者さまのニーズに適した素材や設計が可能になり、審美性も機能性も優れたものを作製できます。ただし、費用が高額になるデメリットもあります。
入れ歯を作製するうえで優先したいことを明確にすると、ご自身に適した入れ歯を選択できるでしょう。
この記事では奥歯の入れ歯の種類を紹介しました。
奥歯がないと咀嚼機能が低下したり、歯並びや噛み合わせが乱れたりする原因となる
入れ歯には保険適用のものと自由診療のものがあり、ご自身で選択が可能
自由診療の入れ歯は10万円程度のものから300万円程度かかるものまで金額の幅が広い
入れ歯作製後は定期検診で状態の確認と調整が必要
入れ歯はインプラントのように手術の必要がなく、予算に応じた治療を選択しやすい
入れ歯の種類は多数あるため、選択に迷われる方は多くいらっしゃいます。費用面・審美面・機能面など優先したい点を歯科医師に伝えて相談してみましょう。そして、入れ歯だけでなく残っている歯を健康に保つためにも、定期検診を受診するようにしましょう。
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